すぐに役立つ治療のヒント 「 ゲートコントロール理論 1 」
患部を " 摩る( さする )" と、痛みが " やわらぐ “
机の角に " ゴンッ! " … ぶつけて 「 痛たーい!!! 」
そんな時って、無意識に患部を摩っていたりしていませんか …。
これは鎮痛メカニズムで有名な、「 ゲートコントロール理論 」 によるものですが
臨床では、どのように活用されているだろうか?
鍼灸や柔道整復の専門学校で生理学を勉強中の学生さんへ!
& オラの復習用備忘録。
「 Gate control theory 」 は1965年に Melzack と Wall さんが発表。
一昔前の図ですが、脊髄後角にあるSG細胞( 膠様質細胞 )と
中枢に情報を伝える T 細胞。
画像をお借りしたのが 海外のサイト なので解りづらくてゴメンなさい。
Fibres de petit diametre( 図では平行線の下のライン )が
小径の神経繊維 「 Aδ や C 繊維 」 などで、これらが興奮すると
SG細胞を抑制して、T細胞を介して痛みが中枢へ伝わっていきます。
しかし、同時に Aβ ( 触庄覚 ) などの太い繊維 Fibres de gros diametre
( 図では平行線の上のライン ) が興奮すると、SG細胞に働きかけ
SG細胞があたかもゲートを閉じるみたいに、小径の神経繊維
「 Aδ や C 繊維 」の情報は
T細胞に伝わらず、痛みが脳へ伝わるのを抑制するというのが
ゲートコントロールセオリーの面倒な考え方。
お母さんが子供に 「 痛いの痛いの飛んでけー 」 って摩ってあげる根拠です。
現在は下の図のように修正されて
SG細胞が I 【 Inhibitory Interneuron ( 抑制ニューロン ) 】と明記
されるようになり、T細胞そのものを抑制する風に変わっているそうです。
専門的な研究は、学者さんにお任せして
臨床では 「 Aδ や C 」 繊維の興奮を 「 Aβ や Aα 」が凌駕する事が
ポイントでして
わたしのような末端は 「 へー そういう機序があるんだ 」 と思って
試してみるしか効果を確認する方法はないのですが、きっと皆さんもそうだと思うので
ありがたく活用させて貰いましょう。
それとゲートコントロール理論に関わらず、こうした神経の入力情報は
「 平衡感覚、固有受容感覚、随意運動 」 などからの 「 入力 」 が
適正に統合された結果、機能するって事が大前提となっています。
ここ大事 0(`・ω・´)=〇
学生さんなら、臨床の至るところでこのような 「 鎮痛抑制 」 が 応用 されているか?
気がつくことが大切だと思います。
又、患者さんの状態によっては Aα Aβ などの刺激入力が減少していて
侵害刺激 Aδ・C の痛覚入力が増大 ↑ もしくは抑制が効きずらくなっている ↓
そう診る視点もあります。 ここも大事 0(`・ω・´)=〇
この辺は、ディスアファレンテーション ( Dysafferentation ) の根拠に
繋がってくる所ですが、ゲートコントロールは専門学校で学ぶ基礎理論。
知っていれば理論を基に、どう料理するか? 自分で考える事ができますし
治療法や、治療器具の扱いにも役立つのではないでしょうか。
知っている / 知らないは 0 と 1 との違い! この差って大きいよね!
今回のポイント
適正な圧・動き刺激の入力は侵害刺激を脊髄レベルで抑圧する。
末梢神経の分類って重複しているので、ムムム? と混乱する学生さんもいるでしょうから
あんちょこ置いておきます。
覚えるのに、こんな親切な動画もあったよ。
分類 | 種類 | 直径(μm) | 伝導速度(m/s) | 役割 |
---|---|---|---|---|
Aα | 有髄 | 15(13-22) | 100(70-120) | 求心性( 筋・腱感覚 ) 遠心性( 骨格筋運動 ) |
Aβ | 有随 | 8 (8-13) | 50 (40-70) | 皮膚の触圧覚 |
Aγ | 有随 | 8 (4-8) | 20 (15-40) | 遠心性( 錘内筋 ) |
Aδ | 有随 | 3 (1-4) | 15 (5-15) | 皮膚温痛覚( 体性痛 ) |
B | 有随 | 3 (1-3) | 7 (3-14) | 交感神経節前線維 |
somatic C | 無随 | 0.5(0.2-1) | 1(0.2-2) | 交感神経節後線維 |
dorsal root C | 無随 | 0.5(<1) | 1(0.5-2) | 皮膚温痛覚( 内臓痛 ) |
良かったら 「 凝りって何? 」 も参考にしてみて下さい
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学生さん対象の内容になってしまいました。
次回、もうちっと突っ込んで書く予定。
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