後内側型シンスプリントに三陰交 … その心は?

2020年12月9日

ツボらな瞳に乾杯

最近は畑の開墾の事ばかりでして、そろそろ東洋医学っぽい記事も書かないと…

東洋医学の穴 」 ではなく、「 農ばかりのバカ 」 になってしまいます。

皆さん及び、Google検索からも相手にされなくなる頃合なので
治療考察の投稿は久方ぶりとなってしまいました。

しかしながら、医食同源とも言われますように! 

自分の老い先の健康の事を考えてみますと、食料自給率の低い日本。
今後は、益々ゆゆしき事態を招き入れる訳ですから

せめて農薬まみれの野菜は避けたいですし

又、お金持ちでなくても安全な野菜が食べられるように、自分で栽培できたら
半給半足のMYインフラを確保できるのではとチャレンジ中でして …。
 

まあ、皆さんはそんな事はどうでも良いでしょうから

今回は、後脛骨筋と三陰交との関係性について書いてみようと思います。
はて?なんで三陰交か? その要因を、三陰交故に「多因考」してみようと思う。

 

ツボ(経穴)って皆さんご存知のように、色々な意味で解釈(付加価値?)
されているなと思うのですが、疾患名や症状に対する経穴であったり

筋へのアプローチとしての指標だったり、解剖学含め
今では多種多様な要因から捉えられている傾向がありますよね。

そもそも俗に言うツボ(経穴)ですから、それ以上でも以下でもないとすれば
「ツボらな瞳に乾杯!」って感じで、東洋医学の治療選穴として無問題ですけど

先ほどの筋へのアプローチとして指標にした場合、ちょっと疑問に思った事がありまして

後脛骨筋、又は後内側型シンスプリントに何故?三陰交を指標とする場合があるのか?
又、「その原因を施術者はどう捉えているのか?」という疑問です。 
 

事の発端は、稲穂鍼灸院整骨院さんからお預かりした症例原稿をWEB化する際に
オヤっ? と思った事でした。

稲穂鍼灸院整骨院 「シンスプリント と 脛骨疲労骨折」

biodigital 3D 人間とかいうサイトで「筋図」を作成していたのですが
後脛骨筋へ刺入(鍼の事)する際に、「三陰交を指標とする」説明は多々ある中 

「鍼先はどこに到達しているか?」という事だった。

自分の中でも、その根拠や機序が漠然としているナ…と、思い返す運びとなりますた。

解剖学的に又、運動器疾患として「後内側型シンスプリント」を把握するとなると
筋学は不可欠ですし、その原因は「 後脛骨筋と脛骨の摩擦による骨膜の炎症

であろうとされています。

後内側型シンスプリントの病態生理は、似田敦先生の「現代医学的鍼灸治療」を参照して
貰えば宜しいかと思いますが、良くあるパターンとして

痛みはまず脛骨内縁の下1/3ほどに出現し、悪化すると痛みの範囲が脛骨内縁の中1/3にまでに
及んでくるというものでして、「 脛骨内縁下1/3の範囲に筋は骨に付着していない 」から

筋膜痛だろうと思われる事。

また、これらの下腿屈筋群の骨付着部は中1/3~上1/3なので
痛みがこの範囲に及べば、骨膜牽引痛と捉えたらよいだろう… との概略です。

シンスプリントの針灸治療 Ver.1.2

これはごもっともだと思うし、且、数ヶ所からの治療ポイントも示唆されているので
これから治療を試される鍼灸師さんにとっては、大変参考になります。
 


 
そして、特に昔の解剖図に多いと思いますけど「後脛骨筋が下腿1/3部位まで描かれている
パターンもあったりするので、この事が症状の改善にあたかも三陰交を用いるとされたのか?

後脛骨筋への刺入には「三陰交」と、なったのかは定かではありませんけど

時代錯誤の解剖図を眺めていると、昔は 後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)など
扱われていなかっただろうし

まして筋学進歩のめざましい現代 … しかも骨疾患を扱うことの少ない鍼灸師さんには
意外と気付きづらい事なのかもと思いました。

私の疑問は、筋への刺鍼 or 腱への刺鍼なのか? はたまた、骨膜を意識した刺鍼だったのか? 

先人達及び、現行の施術者さん達はどう捉えているか? 又なにか思い込みのような先入観も
あるのではないか?というクエスチョンでして

まぁ効果があればどれでも無問題という先生もいらっしゃると思いますけど

わりと真摯に自分の疑問を晴らさないと、これから植え付け予定の種が思うように
発芽しないのではないかと気になってしまい、私自身先に進めませんので記事にしてみました。

後脛骨筋といえば、こちらの触察デモでもわかるように相当把握するのがムズイと思う。

また、超音波を用いた画像診断ではこういう動画もありました。

皆さんどのように考え、鍼灸師さんならどう刺入しているのか? 

youtube 内だけでの検索ですけど、長趾屈筋がわずかに動いている?とも思える
「後脛骨筋にパルス」という謎のタイトルの動画

又その鍼の細さ長さで後脛骨筋まで達するだろうか? とも思える動画もありましたが

批判めいた感じで動画を紹介してしまって申し訳ないですし
こういうのはデモ動画だから致し方なしなのでしょう。

でもそれでは、「 鍼先を何を対象に刺しているか? 」の疑問は解決せず
ここがファジーだと、何を機序とし治効を求めているのかさえ怪しくなってしまいます。

施術者自身、ぼやけている部分もあるのではないでしょうか?

いろいろと検索してみますと … そもそも後脛骨筋がうまく滑走しなくなる原因として
横にいる長趾屈筋がかかわってそうな感じもする…。 超音波ツボ探訪② 三陰交編

Higuchi鍼灸院さんの記事や、後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)を、自らの治療経験から
トリガーポイントを取り除くことにより寛解した 幹鍼灸院 さんの例など

ふむふむ。なるほどと思えたり

たまたまみた運動療法系の投稿では、その目的が一時的な可動域の改善なのかわからないですけど
痛みの緩和にくわえて、認知を変えきる事は なかなか難しいのでは?と思ったりもしました。 

そもそも筋が緊張しているから圧痛点があるのか?

という疑問は鍼灸師さんならだれもが悩む経験だと思いますけど
筋にせよ、「痛みと感じる以上は、脳で認知された閾値の上限を超えた」からとされていて

この療法の場合の「ポジショナル」という意味を推測すると、意図的に筋負荷の
掛かりづらい状態を作り出しておいて、その範囲内でリリースをかける事で

痛みが取れちゃったような感じにするって事なのだろうか?

もしそうであれば、筋が痛みと感じる一定以上の力(負荷)が掛からない範囲なら
痛覚過敏点」もごまかせるって事なのかもしれないけど

痛覚過敏点はなくなる訳ではないだろうし、仮に動作痛は動かさないと痛みを感じないとしても

動かないからといって、生活する上で日常筋への負荷が全く無くなる状態というのは
なかなかレアなケースではないでしょうか…

まして、本来筋は広範囲で負荷調整をするように それこそ連動しています。
 


 
例え筋負荷の掛かっていないような、しなやかな状態の身体を理想としても
そういう状態へ導くには、関連する連動筋をある程度

もしくは素体によっては限りなく追いかけて調整していくはめにもなる。

いつまでたっても終わりのない、施術者の負荷の連鎖を経験されたかたもいると思います。

この動画は運動療法としての症状に対するアプローチですから、多にも色々と
手法があるのだと思いますけど

なかなか一筋への調整でとなると難しいものですね。

まぁ、この動画も施術者がわかりやすく理解できるようにと配慮された
デモ動画でしょうから、なんでも一発で解消を期待してしまう施術者の

安易な欲」を利用した儲けなのかもしれませんけど

楽をするにも「木をみて森をみず」では、本質に気づかない只のライフハックな
一発芸となってしまいます。

というような事を、長々と書いてしまったのですが
これらの疑問を稲穂鍼灸院整骨院さんへ質問してみたところ

なるほど!と思える考察を頂いたので、皆さんにも要約を紹介したいと思います。
 

先生への質問と考察です。

① 脛骨内側の下3分の1付近の痛み、シンスプリントの施術点に三陰交を使用するケースがあるが
何が痛みの原因と考え施術をしていますか?。

② 脛骨内側の中3分の1付近の痛み原因は何だとお考えになり施術していますか?。
(シンスプリント=後脛骨筋と言われていますがどのようにお考えになり施術していますか?)
 

稲穂鍼灸院整骨院さんの考察。

① 脛骨内側の下3分の1付近には筋の付着部が無く筋の牽引力による筋付着部の骨膜炎は除外。
腱が脛骨内側の下3分の1付近を滑走する際の、腱・もしくは骨膜の痛みではないだろうか?

脛骨骨形状bendingストレス/先天的脛骨性内反/後天的臀部・下肢部外旋筋力低下による
0脚により
足関節の外反(回内)・脛骨内側筋群の牽引力・足底の縦/横アーチ不足(地面着地の祭の)
shockを吸収出来ず、下腿の脛骨骨形状bendingストレスが過剰になり

脛骨内側の下3分の1付近に微細疲労骨折が起こる、これが原因ではないかと考えます。

筋/腱(後脛骨筋)が脛骨内側の下3分の1付近に付着していて骨膜炎が発症するのであれば
筋(後脛骨筋)停止部の舟状骨付着部炎/有痛性外脛骨症も合併するのではないでしょうか?

・筋/腱(後脛骨筋)の滑走→腱・もしくは骨膜の痛み
・脛骨内側筋群の牽引力・足底の縦/横アーチ不足など下腿の脛骨骨形状bendingストレス
→微細疲労骨折

② 脛骨内側の中3分の1付近には複数の筋が付着しているが、下腿解剖断面図や下腿超音波
エコー短軸画像で確認すると、筋の牽引力による筋付着部による骨膜炎であれば後脛骨筋より
長趾屈筋が原因ではないのでしょうか?

・長趾屈筋短縮→長趾屈筋痛/骨膜炎→骨膜炎悪化→微細疲労骨折
・複数の筋短縮→脛骨骨形状bendingストレスが過剰→微細疲労骨折

以上です、あくまでも自分の考えなのでソストな批判お願い致します。 

との事で、情報の提供ありがとうございます!
 

ツボというフィルターを通すと、かえって見えなくなってしまう部分もあると思いますし
様々な要因を考慮して、どう症状に対応していったら良いの悩むのはとても労力の掛かる事です。

文にまとめるとなると余計大変ですね・・・

鍼灸だけですと、骨折に対しての治療はなかなか難しいのかと思いますけど
あらためてヒントを頂いたように思います。

おいらの中では骨膜刺激もそうですけど、「後脛骨動脈」等の血流改善も
あたりまえですが視野を向けて、鍼灸本来の効用を活用していければと勉強になりました。

わたすと同じような疑問を、もし抱いた方がいたならば投稿する意味があったかもですね。

稲穂鍼灸院整骨院さんHP