④ 反射の影響
その要因を 前回 書いてみました。
では『 具体的に、反射はどう影響するのか? 』今回、考察してみたいと思います。
皆さん良くご存知の五十肩を例にして!
一般に五十肩は … 肩関節を構成する筋肉群が損傷した結果、後日
筋肉が縮こまって拘縮変化を起こして、運動制限・特に挙上困難となりやすい。
また進行すれば関節にも負担がかかるため、骨・軟骨・靱帯・関節包をも
悪くしてしまう可能性がある症状で、一般医療では異常が見当たらない肩関節周辺の痛み。
これが五十肩の定義
いわゆる老化に伴った “ 酷い肩凝りから発展した症状 “ ですけど
皆さん、若い時ってたまに肩凝りを経験すると ” 凝りや痛み ” って凄く敏感に
感じませんでしたか?
それが、40 ~ 50代になってくると、いつのまにか
「 凝りや痛みが持続的な感覚に変わり、気づくと体や関節の動きが硬くなっている。 」
たまにストレッチをしてみると、体が硬くなっていてガビーン! … なんていう状態です。
つまり五十肩という症状は、肩周辺に定期的に強い凝りや痛みを感じていた
期間が必ずあって、それが治まると関節の動きが以前よりも硬くなっている事を
繰り返した結果なんです!
本人は忘れてしまっていても、強い肩凝りや痛みを自覚した時期が必ずあったはず。
そして「 もう痛くて耐えられない! 」と、お医者さんに行くと “五十肩" と診断される。
これが一般的な経過と症状です。
では、どうして関節の動きが以前よりも硬くなるのでしょうか?
ここに反射が関っていると思います。
冒頭では普段痛みを感じなくても、体は組織の損傷と修復を繰り返していると
説明しました。少し復習してみましょう。
人体に一定以上の組織損傷が発生した場合、患部からその情報は
脊髄を通って脳へ伝達され、「 脳 」まで伝わってはじめて 「 痛み 」は認識されるという
仕組みになっていました。
しかし、「 微々たる情報 」にいちいち反応しては困るので、一定以上の情報
( 閾値 )に達しなければ、脳は 「 痛み 」を自覚しませんでした。
そしてここから ・・・!
実は、微々たる筋肉の損傷であっても
脊髄からは、送り返しに " 筋肉を収縮させる反射 " は引き起こされています。
こうした反射が積み重なったらどうなるでしょうか?
微々たる損傷でも、反射が起これば徐々に筋肉は収縮していきます。
年齢も若く、回復力の早い時は筋肉も弾力もあり、血流の流れも良いですから
凝りになるまでの事は、稀でしょう。 しかし、回復力が低下してくると
度重なる反射によって徐々に筋肉は収縮され、回復が追いつかないようになってくると
いつしか持続的な凝りを自覚するようになってきます。
そして筋肉の収縮は次第に 「 神経や血管 」をも圧迫しはじめます。
こうなると局所の循環不全を引き起こしますね!
循環不全となれば、筋肉などの 【 細胞 – 血管 】間での栄養のやりとりも
お粗末となり、更に「 緊張という悪循環 」に陥ります。
そして圧迫された組織が徐々に悲鳴をあげ、レセプターでもある神経に
「 痛み 」 として知らせようとします。
遂には 【 脳 】が、痛みを自覚しはじめ、その時点から【 慢性痛 】になっちゃた訳です。
つまり、” 改善してもおかしくない時期にまだ痛みが残っている “ というのは
些細な「 反射 」が積もり積もった結果ということ。
五十肩のようにある時期に凝りや痛みを感じ、それが治まると関節の動きが
硬くなってくるのは
体が痛みに対して 「 可動域を少なくする事で対応した苦肉の策 」 でもあり
そのぶん無理に関節を動かそうとして、二次的に筋肉・靱帯・関節包・軟骨や骨に
更なる負担をかけてしまうという矛盾の結果です。
当然痛みが起これば 反射が更に促進され、また筋肉は収縮してしまいます。
" 改善していてもおかしくない時期にまだ痛みを感じるのは " この為では?
この悪循環を改善させることに目を向けない限り、治療といっても
症状はなかなか緩和されないものなんですね!
次回は 筋肉の柔軟性と反射 に目を向けてみましょう!
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