勉強会レポート その5

2019年10月6日

勉強会レポート その3

プレセミナーとして始めた 「 腰下肢痛の鑑別診断と治療法の習得
今回でレポートは終わりにします。

11回目にして、全ての施術方法を参加者と共有することができました。

疾患別講義とテスト法、それから各症状に対応する手技。
また差別化に向けて、患者さんに納得して頂く説明能力を養う事も狙いでした。
 

その為に取り組んできたロールプレーイング。
用意した症状に対し、「問診 ~ 鑑別 ~ 施術」を受講者さんに行ってもらいます。

そのかいあってか、複雑な合併症状や尿管結石など ( かなりいじわるな症状 ) を除き
全員が同一の診断結果を得るまでに至った。

これって凄いことだと個人的に思います。
 

施術結果がどうか! これも勿論重要ですが、少なくとも患者さんにとっては
的外れな診断をされることが無くなる。

そしてなにより、診断が曖昧ではどんなに優れた手技テクニックも的外れ!
ここが相当な差別化になると企画を練ってきましたから。
 

また、時には患者さんを引っ張らない潔さも必要です。
なんだか判らずに施術されるのは、自分だったら嫌というか迷惑ですし

ごまかしや嘘つきは、結局自分の首をしめることになる。

しっかり患者さんに説明して同意を貰い、一生懸命施術することが
結果的にはリスク回避にも繋がります。

そうすれば例え効果が悪い時も、患者さんは大きな目で見てみてくれるかもしれません。

また症状の鑑別・施術方法が共通認識できると
各自が普段の臨床で得られるフィードバックを後で有効活用することができます。

どんな症状に対し、どんな施術をして、結果がどうだったか?

症状の見立てもバラバラ、治療方や流派もバラバラ ・・・ その人にしか出来ない技術。
これだとまとまった見解や建設的な作業はできません。

だから参加者全員で理解し、臨床結果から改善を重ね、更に皆さんと共有する。
そういう取り組みが、自分にとっても、メンバーにとっても、患者さんにとっても
良い循環。これが win.win.win の関係ではないでしょうか ・・・

治療者同士で共通言語を持つことが必要なのではと思っています。
 

今回新たに取り組んでみた 3つの事。

① 患者さんに協力して頂き、受講者さんに治療してもらう。
② 勤務されている先生は、自分で患者さんを見つけて対価を頂いて施術する。
③ 症例報告専用のカルテを作成し、臨床でどういう結果が出たか報告。

腰痛による歪み

① 患者さんに施術してみる! これ以上の練習はない。

腰痛患者さんがいたので協力して貰いました。
受講者さんも大変ですが、こっちだってドキドキ!
ハイリスクハイリターンですが自信がなきゃこんなことやりません。 
結果含め満足して頂けた様子で正直ホットしました。

② 黙っていても患者さんがくるのは勤めている時だけ。

開業やフリーでやるなら営業能力も必要と思っての取り組み。
条件は家族以外に施術して“ 必ず対価を頂く事 " です。
これは、私も尊敬する先生から教えて頂いたことです。

受講者さんも頑張り、前に勤めていた会社を訪れ施術させて貰ってました。
対価は夕飯だそう ・・・ ( お金でなくても重要だと思います! )

人によっては嫌な課題と思われると心配したのですが、人脈を広げる事・対価を頂く重みに
気づけたと言ってくれた事が嬉しかった。

そして受講者さんに " 自発的行動変化 " が現れる・・・

この受講者さんは整形外科に勤務し、当たり前ですが診断は全て院長先生。
カルテを見て指示通りに施術する。

普通にやってたら鑑別診断は身につきません。
そこで将来の開業に備え、 整骨院めぐり をはじめたそうです。

他所がどんな感じで症状を鑑別し、説明 ~ 施術するか体験し
感じたこと・意見を皆さんにシェアして頂きました。

③ 習った人がどういう結果を出すか? 

これがこの勉強会の趣旨です。 
個人的に最も重要ですがある意味死活問題で ・・・ 怖い。

少しづつデータが集まりだしてきたので2例紹介。

臨床報告カルテ
31歳 男性: 前屈時、腸骨稜上部に痛み

ケンプテスト両側とも陽性。
起立筋の筋筋膜性及びT12 / L1椎間関節腰痛と
思われる。
筋筋膜性腰痛 ( 起立筋 ) パターンと腰方形筋に
アプローチ。 術後ペインスケール 5 ⇒ 1

土木関係の方で次の日も仕事があるということで
テーピングを併用。次の日痛みが戻ることはそれほど
無く2回でほぼ症状は消失。

症例報告カルテ
78歳 女性: 前屈時、左腰部に痛み

ケンプテスト左陽性。
筋筋膜性及び椎間関節腰痛。

筋筋膜性腰痛に対する施術パターン。

施術中少し痛みを感じていたが、できる範囲で動いて
貰う。回旋ユニット ( 腹斜筋 ) へのアプローチあた
りから痛みがなくなってきた様子。
3日後再来院、同様の施術をした。 痛み消失。
 

2例とも同じような症例ですが、それだけ多い腰痛の症状。

その他 「 急性のギックリ腰 」 改善の報告もあり、参加頂いた方が結果を出している事。

ここが一番重要ではないでしょうか?
習っても使えない ・・・ そんな勉強会を沢山経験してきた方も多いと思います。

アンケートにありがたい言葉がありました。

勉強会アンケート

なんとか勉強会の趣旨はクリアできたと思います。
 

" 弟子はその師にまさらず

ちょっと失礼な書き方ですし、活用の仕方が違うかもしれませんが
聖書に登場する言葉なのだそうです。

本当は、弟子がその師のようになれたら十分という意味合いらしいです。

しかし、偉大な先生方・先人をリスペクトしつつ、そこをどう超えるか!
試行錯誤するのが資格者急増世代には益々必要な事ですよね。

師匠が凄くても弟子が結果を出せないなら、それは師匠個人の能力と思ったほうが良い。

もっと誰でも自由に使いこなせるシステムが
施術の世界にあっても良いのでは?

コンピュータの世界にはオープンソースという概念があります。

おいらは横のつながりで、お互いにスキルアップできる環境を作りたい。
そう考えました。

UNITE は元々、相互扶助をテーマに活動をはじめたグループ。 

この勉強会を通じて色々な人や才能と出会い、活動を広げられたら幸いと思っています。

興味ある方! 参加をお待ちしております。

「 チャートで理解する腰下肢痛の鑑別診断と治療法 」