鍼のフレアー現象
鍼治療で見られる「 フレアー現象 」
刺入した局所が " ほんわり赤くなる " 事から、そう呼ばれています。
血液循環が活発になった証のようなものですが
どうして温めてもいないのに、赤くなるのか?
素朴な疑問を頂きました。
言われてみれば、確かに鍼治療に特徴的な事だと妙に納得。
患者さんへの説明用に図でも作っておこうと、ついでに記事にしてみました。
これには 「 軸索反射 」という生体反応が関与しています。
軸索って何じゃ? と思われた方は、神経のひものような部分で
情報を運ぶケーブルだとイメージして下さい。
そして知覚神経というのは、受容器 「 レセプター 」で刺激を受けとって
求心性 に( 脳に向かって )シグナルを伝えますが
一部は、軸索分岐部から他の分枝に " 逆行性 " に伝わることを
軸索反射と言っている。
この図でも途中で折り返して、皮膚や血管に伝わっていますね。
すると、その神経の末梢からは P物質 ( SP ) や CGRP という物質が放出され
これらが付近の血管や白血球などに働きかけ、様々な変化を引き起こします。
P物質 ( SP ) ? CGRP ?
そういう物質があると思って読んで下さいね。
どんなメリットがあるのでしょうか?
簡単に言うと、鍼刺激によって「 軸索反射 」が起こると、これらの物質が放出され
『 血管が広がり、血流が良くなる! 』
だから、真っ赤になって凝りもほぐれるんです!
こんな説明じゃ駄目でしょうか ・・・ 説明するのって難しいですね。
ちなみに専門学校で習った頃は、P物質 ( SP )は、「 血管透過性 」 を上げ
CGRP は、「 血管拡張作用 」 があるとされていますが
実際はもっと複雑でして様々な機序と反応が関っています。
興味深いのは
CGRP の反応は SP の血管拡張作用よりも遅れて現れ、時間も長く続くという事。
これが鍼灸の効果たる所以となっているのでしょう。
こうやって改めて考えてみると、鍼って " 異物 “ として生体に認識されるからこそ
軸索反射やフレアが起こる訳で、こうした免疫反応を賦活させることが狙いでもある。
そして手では届かないような深い筋肉に直接アプローチできるのが鍼の利便性と
思うのですが、深刺しするにはリスクもあります。
この患者さんは耳鳴りでしたけど、特に頭頚部は細い鍼じゃないと
血管傷つける可能性もあるので、深刺しする場合はくれぐれも慎重に!
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