鍼灸(針灸)治療って痛い? 痛くない?

2019年10月14日

日本の鍼灸と言えば、「 鍼は痛くありません。刺さなくても利きます
こんな宣伝文句が一般的ですが

鍼灸に興味があるけど、痛いのはちょっと …

初めてなら尚更、気になりますよね!
 

鍼灸治療にも色々ありまして、日本人にあわせた鍼灸や中国の鍼灸… 
はたまた現代医学的なアプローチや、東洋医学の古典を大事にする流派など

様々な考え方があって価値観も異なっています。

そして、よくある宣伝文句 「 鍼治療は痛くない! 」 
ですが、これはちょっと語弊があるかもしれません。
 

鍼には太い・細い・長い・短いありまして、刺入する際に筋肉などが
凝っていれば 「 ズシーン 」 と響く、それ相応の感覚があります。

刺さないのであれば、当然響きも痛みもありませんけど ・・・
 

では何故? 痛くないと盛んに宣伝されているのでしょうか?

歯医者さんが 「 痛い 」 というイメージで治療を嫌煙されたように
鍼灸業界も、そのイメージを払拭させたいのかもしれませんね。

鍼を刺すにも、筋肉などを対象とせず ” 経絡 ” や ” " の流れを
実感できる鍼灸師さんなら 「 刺さずに効かせる 」 事ができるのかもしれませんが

鍼灸師全員がそうとは限りません!

気や経絡を実感する方法なんて、学校では教わる事もないですし
むしろ実感できないという人のほうが、多いのではないでしょうか。
 

皆さんは ” 幽霊 “ がみえますか?

経絡や気を ” 幽霊 ” に置き換えてみると解りやすいです。

① 幽霊 ( 経絡や気 )が見えて、対応できる霊能者 ( 鍼灸師 )。

② 気配を感じる程度で、対応はできない。

③ 見えないし感じない。

このように鍼灸師のタイプも様々で、おいらは ③ に該当しますが
かといって、東洋医学を否定する立場でもありません。

実際、東洋医学の概念は症状の捉え方などに役立ちますし

但し「 経絡や気は実感できない 」ので、治療は解剖生理学に頼った
現代医学的アプローチとなります。

① に当てはまる鍼灸師さんは羨ましい限り! はたして何名位いるのでしょう?

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さて、本題ですが

いつごろから日本の鍼は 「 痛くなく、刺さないでも利く 」と
表現されるようになったのだろう?

鍼の材質の進化や、繊細な日本人の体質にあわせ刺激量を工夫するのは
当然かと思いますが、それだけでもないような気もします。

お隣、中国で掲載されていた鍼灸動画。 「 Live Leak 」よりを見てみますと  

2010 2月に 中国の重慶で撮影されたとある。 

高度成長する最中で割と最近の様子です。

かなり場末の治療院とは思いますが ・・・ 重慶って大きな都市のイメージが
あるのですけど、残念ながら行ったことはありません。 

そして動画を見ていて思うのが、治療に遠慮がない。

何故? こんな乱雑な感じなのに、治療を受けに来るのでしょうか?

地域に根ざしていそうな感じもしますが、住民に医療の選択肢があまりないのかも …

シンプルイズベスト

おそらくこれで効果があるから、多少の痛みを我慢しても患者さんが
くるのだと思います。

この動画を見る限り、技術的にも特別難しそうな事をしている様子はありません。

気や経絡を否定している訳ではありませんが、あまり難しく鍼灸を捉えるのも
どうかなと思います。

鍼灸の聖書と言われている 『 霊枢 』 という経典には

「 気至而有効 」「 気不至不治 」 と記載があり

この気とは、得気と呼ばれ 【 酸・麻・張・重 】 と実感を伴う感覚のことで
この感覚があれば有効で、感覚がなければ効かないとされているからです。

・ 酸 ( だるい感覚 )
・ 麻 ( しびれるような感覚 )
・ 張 ( はれぼったく感じる )
・ 重 ( 重く締め付けられるような )

詳しくは 【 北京堂鍼灸の得気 】 に解説があります。

ひょっとして日本の鍼灸って戦後廃れていく最中、どうすればメジャーになるか
先人達が苦肉の策で行なった 【 恐怖と不安を取り除くキャンペーン 】の

遺産なのではないか?

それがいつの間にか 「 鍼は刺さなくても利く 」と、解釈されるようになって
技術体系化したような気もしないでもない。

もともと手先も器用で、細やかな日本人。 それがかえって今

鍼を刺さない ” エアー鍼灸師 ” の増産につながっているのでは?
 

気や経絡の実感が持てないというのは、確かに東洋医学を行う上で致命的な欠陥です。

だって、それが西洋医学と一番差別化できるポイントですから!

益々増える資格者問題に、医師が鍼灸まで扱いだしたら
「 鍼灸は残るが鍼灸師は残らない 」なんて言われている昨今ですが

唯一、東洋医学たらしめるのが 「 経絡が実感できる人 」という事になる。

なのでいっその事、経絡や気が実感できる人だけに
鍼灸師の資格を与えたらどうだろうか?

そうすれば鍼灸の価値は上がり、経絡という名称の付いた治療法や学会は
誠の意味で 「 経絡治療 」 となるはずです。
 


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