④ 反射の影響

2021年9月26日

意識でコントロールできない反射は「 非常に厄介な問題!」

その要因を 前回 書いてみました。

では『 具体的に、反射はどう影響するのか? 』今回、考察してみたいと思います。

皆さん良くご存知の五十肩を例にして!
 

一般に五十肩は … 肩関節を構成する筋肉群が損傷した結果、後日
筋肉が縮こまって拘縮変化を起こして、運動制限・特に挙上困難となりやすい。

また進行すれば関節にも負担がかかるため、骨・軟骨・靱帯・関節包をも
悪くしてしまう可能性がある症状で、一般医療では異常が見当たらない肩関節周辺の痛み。

これが五十肩の定義
 

いわゆる老化に伴った “ 酷い肩凝りから発展した症状 “ ですけど
皆さん、若い時ってたまに肩凝りを経験すると ” 凝りや痛み ” って凄く敏感に
感じませんでしたか?

それが、40 ~ 50代になってくると、いつのまにか

「 凝りや痛みが持続的な感覚に変わり、気づくと体や関節の動きが硬くなっている。 」
 

たまにストレッチをしてみると、体が硬くなっていてガビーン! … なんていう状態です。
 

つまり五十肩という症状は、肩周辺に定期的に強い凝りや痛みを感じていた
期間が必ずあって、それが治まると関節の動きが以前よりも硬くなっている事を
繰り返した結果なんです!

本人は忘れてしまっていても、強い肩凝りや痛みを自覚した時期が必ずあったはず。

そして「 もう痛くて耐えられない! 」と、お医者さんに行くと “五十肩" と診断される。 

これが一般的な経過と症状です。
 

では、どうして関節の動きが以前よりも硬くなるのでしょうか?

ここに反射が関っていると思います。
 

冒頭では普段痛みを感じなくても、体は組織の損傷と修復を繰り返していると
説明しました。少し復習してみましょう。

人体に一定以上の組織損傷が発生した場合、患部からその情報は
脊髄を通って脳へ伝達され、「 」まで伝わってはじめて 「 痛み 」は認識されるという
仕組みになっていました。

しかし、「 微々たる情報 」にいちいち反応しては困るので、一定以上の情報
( 閾値 )に達しなければ、脳は 「 痛み 」を自覚しませんでした。

そしてここから ・・・!
 

実は、微々たる筋肉の損傷であっても
脊髄からは、送り返しに " 筋肉を収縮させる反射 " は引き起こされています。

 

こうした反射が積み重なったらどうなるでしょうか?
 

微々たる損傷でも、反射が起これば徐々に筋肉は収縮していきます。

年齢も若く、回復力の早い時は筋肉も弾力もあり、血流の流れも良いですから
凝りになるまでの事は、稀でしょう。 しかし、回復力が低下してくると

度重なる反射によって徐々に筋肉は収縮され、回復が追いつかないようになってくると
いつしか持続的な凝りを自覚するようになってきます。

そして筋肉の収縮は次第に 「 神経や血管 」をも圧迫しはじめます。
こうなると局所の循環不全を引き起こしますね!
 

循環不全となれば、筋肉などの 【 細胞 – 血管 】間での栄養のやりとりも
お粗末となり、更に「 緊張という悪循環 」に陥ります。 

そして圧迫された組織が徐々に悲鳴をあげ、レセプターでもある神経に
「 痛み 」 として知らせようとします。

遂には 【 脳 】が、痛みを自覚しはじめ、その時点から【 慢性痛 】になっちゃた訳です。
 

つまり、” 改善してもおかしくない時期にまだ痛みが残っている “ というのは
些細な「 反射 」が積もり積もった結果ということ。
 

五十肩のようにある時期に凝りや痛みを感じ、それが治まると関節の動きが
硬くなってくるのは

体が痛みに対して 「 可動域を少なくする事で対応した苦肉の策 」 でもあり

そのぶん無理に関節を動かそうとして、二次的に筋肉・靱帯・関節包・軟骨や骨に
更なる負担をかけてしまうという矛盾の結果です。
 

当然痛みが起これば 反射が更に促進され、また筋肉は収縮してしまいます。

" 改善していてもおかしくない時期にまだ痛みを感じるのは " この為では?
 

この悪循環を改善させることに目を向けない限り、治療といっても
症状はなかなか緩和されないものなんですね!
 

次回は 筋肉の柔軟性と反射 に目を向けてみましょう!